松任谷由実さんのアルバム『悲しいほどお天気』は1979年の作品で、その充実した内容が、彼女の傑出した才能の発露を強く感じさせることを、当時から…さまざまな角度から語られていることと思います ♪ 私がこのアルバムの音楽に触れたのは10代半ばの頃だったと思いますが、当時のLPレコードいっぱいに収録された時間的な長さとともに記憶に印象づけられています♪ 個人的に…5曲目の“丘の上の光“に表現される、ゆっくりと自転車を漕いでゆく情景と後半を彩るスローサンバのサウンドのマッチングが心を捉えて放さず、私にとってのユーミンのフェイバリットソングの1つです♪ブラジル音楽でCuíca クイーカという独特な奏法をすることで知られるパーカッションがよく使われますが、私がそのサウンドに初めて触れたのも、この曲からだった気がします ♪ アルバム全体が、歌や演奏はもちろん、サウンドの面からみても…とても素晴らしく、音楽家の立場から興味が尽きぬ内容で、彼女の主に1990年代から2000年代にかけてのライブをツインギターの1人として支えた、惜しくも亡くなられたギタリストの中川雅也さんが、このアルバムの”水平線にグレナディン”を演奏する機会に巡りあったときに、とてもうれしかった、と語ってらしたのも、強いシンパシーとともに思い起こされます♪当時のアップトゥーデイトなサウンドがそのまま未来にも続いていくのを感じさせる…とてもユーミンらしい傑作だと思います♪
映画『リトル・ロマンス A Little Romance 』(1979)は…『明日に向かって撃て!』、『スティング』で知られるジョージ・ロイ・ヒル監督による青春映画の傑作です ♪ 今や名実ともに大女優のダイアン・レイン Diane Lane のデビュー作でもあります ♪ 私が最初に見始めた映画のひとつで、十代前半の主人公たちの初々しさと、老年のいぶし銀の名演技で脇をささえるローレンス・オリビエ Laurence Olivier の素晴らしさが今も記憶に深く刻まれています ♪ 音楽は、これまた 1960 年代のヌーベルバーグ Nouvelle Vague のフランス映画の数々から、のちには『ツインズ』、『フォー・エバー・フレンズ』などのハリウッド映画まで手掛けていく映画音楽の名作曲家 ジョルジュ・ドルリュー Georges Delerue が担当…♪ 当時、欧米でベストセラーになっていた、作家パトリック・コーヴァンの小説を映画化したもので、パリで巡り逢い、惹かれ合った2人の少年少女が謎の老人から聞かされた伝説に導かれるように , 、ヴェニスのため息の橋の下でキスをして永遠の愛を誓おうとする…現代のおとぎ話 ♪ メインテーマには Vivaldi ヴィヴァルディのギター協奏曲の美しい緩徐楽章が使われて、みずみずしいロマンチックな雰囲気を醸し出しています ♪ この映画でアカデミー賞のオリジナル作曲賞も獲得しているジョルジュ・ドルリュー Georges Delerue の作る…それ以外の音楽も、丁寧で職人的な佳曲ばかりで、映像と音楽が相まって楽しめるとても素敵な作品です ♪ この作品にふれるたびに、映画と音楽とのいちばん美しい関係について、いつも…ハッと気づかされるようです ♪