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Steve Khan スティーブ・カーン…ジャズ·フュージョンのギタリストとして巨匠の位置にある長いキャリアの音楽家です ♪ 1970年代からセッションギタリストとして多く活躍して、Brecker Brothers の『Back To Back』(1976), Billy Joel の名盤『The Stranger 』や Steely Dan の 『Gaucho 』の録音などでも、そのしなやかなプレイを聴くことができますけれども…彼の真骨頂は、そんなメジャーのシーンから距離を置いて制作された『Evidence』(1980) での多重録音のギターサウンドによる Thelonious Monk の作品群のカバーなどを端緒に、さらに…ベースのAnthony Jackson、パーカッションの Manolo Badrena 、そしてドラマーの Steve Jordan (Charlie Watts 亡き後の The Rolling Stones をサポートしている…)らとともに結成したグループ〈Eyewitness〉での3枚にわたるアルバムに、大きな展開をみせます ♪ メンバーそれぞれの即興演奏を基本に…それらをグループのサウンドとして昇華させる…という方法は、Miles Davis などにも共通する、本質的なジャズとしてのアプローチを強く感じさせる、スリリングな魅力に満ちたものです ♪ 今はなくなってしまったライブハウス…東京の六本木ピットインでの、このグループの来日公演を記録したアルバム『Modern Tines モダン・タイムス』(1985) における演奏は、彼のユニークな音楽のエッセンスを存分に聴くことができます ♪ 私のフェイバリットナンバーは、オリジナルLPレコードのB面、パーカッションソロとのスリリングな掛け合いが展開する “ Penguin Village ”…です ♪
Ramsey Lewis ラムゼイ·ルイス (1935-2002) のピアノプレイ…その明快なタッチと歌うフレージングには、私自身…とても多くの示唆と影響を受けています ♪ ヒットアルバム『 The 'in' Could 』(1965) 以外にも、ほぼ毎年のようにアルバムを発表しつづけている…音楽に対するバイタリティーは驚くべきものがあります ♪ 自身のピアノトリオに1960年代後半、ドラマーとして在籍し、その後 Earth, Wind & Fire のリーダーとして大活躍する Maurice White をプロデュースチームに加えた1975年のアルバム『 Sun Goddess 太陽の女神 』では、その Earth, Wind & Fire のライブによるカバーバージョンとともに知られるタイトル曲でのファンキーなプレイがクラシックとして聴き継がれています ♪ 1990年代に入ってからは 〈 Urban Knights 〉の名義で Weather Report のリズムセクションとして名高い Omar Hakim(drums), Victor Baily(bass) らとともに極上のジャズフュージョンサウンドを展開していったことも注目に値します ♪ そんななかで私のもっとも愛するのは… Stevie Wonder に2曲の提供を受けた1977年のアルバム『 Love Notes 』でのタイトル曲、そして冒頭を飾る “ Spring High ” での胸躍る Groovy なサウンドです ♪
João Gilberto ジョアン·ジルベルト の1973年のアルバム『 João Gilberto 』は私自身、1990年代から現在まで…とおして聴きつづけている大好きな作品で、彼の思い描くギターと歌の表現のエッセンスが全編にちりばめられている傑作です ♪ 1960年代からすでに自分ひとりでのギター弾き語りのスタイルで演奏をしていた João ですけれども、Tom Jobim の代表的なスタンダード “ Água de março (三月の水) ” で幕を開けるこのアルバムでは Sonny Carr による…わずかなパーカッションの演奏だけをともなって、とても静謐で詩的な音楽世界を形づくっています ♪ Caetano Veloso の作品 “ Avarandado (ベランダのある家) ” や、João の故郷でもあるバイーア地方の情景を歌った…ブラジルポピュラー音楽でもっとも知られるサンバ “ Aqualeira do Brasil (ブラジルの水彩画) ” の作者である Ari Barroso による古典的名曲 “ Na Baxão do Sapateiro (坂のある下町で…)” が João 自身のギター独奏によって収められたり…と、シンプルなサウンドにつつまれている内容はバラエティ豊かな彩りに満ちています ♪ めくるめく転調を繰り返す“ Eu vim da Bahia (僕はバイーアからやって来た)” は… João の冴えわたる弾き語りの真髄を感じとれる演奏で、私自身のバイブルのひとつでもある名曲です ♪
佐藤博さんは…2012年に亡くなられてしまいましたけれども、その唯一無二のキーボードプレイとオリジナリティあふれる作品の数々は残された録音のなかでエバーグリーンな輝きを放っています ♪ 数多くのレコーディングセッションでの素晴らしい演奏は枚挙にいとまがありませんけれども…そのユニークな音楽的なエッセンスを結晶のように聴かせてくれる作品が1982年のアルバム『 awakening 』です ♪ これは…当時最先端の機材だった Linn Drum によるドラムプロミングに乗せたボーカル-インストルメンタルサウンドが全編を貫いて展開する傑作で、未だにこのトータルなサウンドデザインは普遍的な魅力に満ちています ♪ The Beatles のスタンダード “ From Me To You ”, Quincy Jones による1970年代のホーンアンサンブルの名曲をシンセサイザーキーボードでカバーする “ Love And Peace ” などもふくまれたコンテンツは Wendy Matthews とともに織りなすボーカルと華麗なキーボードプレイによって極上の心地よさを聴かせてくれます ♪ 深い青色の空と、同じように青いパラソルの覗くベランダのフォトグラフを配した印象的なジャケットデザインとともに〈永遠の夏〉を感じさせてくれる…名作アルバムです ♪
Dave Grusin デイヴ·グルーシン…は私の最もリスペクトするキーボーディスト、そしてサウンドプロデューサーの1人です ♪ 日本においては渡辺貞夫さんの…『 My Dear Life 』(1977), 『 California Shower 』(1978) などの一連のヒットアルバムでのコラボレーションが特に知られていますけれども、GRPレコードでの数々のプロデュース作品や映画音楽の作曲家としても多くの作品を残しているトータルな音楽家です ♪ Quincy Jones の1970年代におけるスタジオ録音作品…『 You've Got A Bad Girl 』 (1973), 『 Body Heat』(1974), 『 Mellow Madness』(1975)…においてのフェンダーローズピアノを駆使したキーボードプレイはそのどれもが、その時代のジャズフュージョンサウンドを象徴するものです ♪ 1985年の Lee Ritner とのコラボレーションアルバム『 Harlequin ハーレクイン』では、ブラジルを代表するシンガーソングライター Ivan Lins の作品を取り上げて紹介し、その素晴らしい音楽を世界に広く知らしめました ♪ 私の個人的に一番繰り返し愛聴している、1990年代においてのジャズスピリットを素晴らしいサウンドリーディングで存分に展開する2つのアルバム、George Gershwin の作品集『 The Gershwin Connection 』(1991), Duke Ellington のスタンダードを集めた『 Hommage To Duke 』(1993) も…ぜひ聴いてみていただきたいオススメの作品です ♪
 印象主義 Impressionisme(仏) という言葉は…画家のモネ、ルノワールなどの作品について多く語られる美術分野だけでなく、音楽においても フランスの作曲家 Debussy ドビュッシーや Ravel ラヴェルの作品に見られるかたちについて分類 = カテゴライズするうえで用いられます ♪ その特徴は…ひとつには、それまでのドの位置から始まるドレミファソラシド…という序列の全音階 = ダイアトニック·スケール から離れて、残りの6つの音をそれぞれ起点とする、たとえば〈レの旋法(ドリア)〉、〈ファの旋法(リディア)〉、〈ラの旋法(エオリア)〉などの…いわゆる〈教会旋法〉を活用した音響を構築していることと関連しています ♪ Ravel の代表的なオーケストラ作品である バレエ音楽『ダフニスとクロエ』における主題のフレーズには、いわゆる全音階 = ダイアトニックなサウンドとは一線を画す響きが一聴して聴き取れます ♪ 19世紀末から20世紀の初めにかけて、フランスのパリを拠点にして開花していったこの新しい音楽のありようは、Debussy の作品である交響詩『海』や、前述の Ravel の精緻なオーケストレーションなど…印象主義の画家シスレー、スーラ、そしてピサロの絵画における点描などの手法とも相通ずる明滅するような音響効果へと発展して、さらにはその後の Olivier Messiaen オリヴィエ·メシアンなどによる…現代の音楽、そしてジャズやポピュラー音楽のサウンドへの端緒を開いていくのです ♪
Stevie Wonder の1979年のアルバム『 Journey Throuh The Secret Life Of Plants 』は、彼が初めての映画のサウンドトラックとして手がけた異色の作品で、その…〈植物の生態〉をテーマとしたドキュメンタリーに沿った内容のLPレコード2枚組におよぶ曲には、通常のアルバム作品には見られない実験的な曲の数々がちりばめられています ♪ 諸般の事情で映画が広く公開されず、このサウンドトラックアルバムだけが発表されることとなったのですけれども… Stevie の操るさまざまなシンセサイザーを駆使したナンバーは音楽だけでも十二分にそのテーマ、植物の生態の秘密についての想像をかきたてるサウンドコラージュとなっています ♪ その後になっても代表的な作品としてベストアルバムにもとりあげられる “ Send Her Your Love 愛を贈れば ” や、日本においても西城秀樹さんによるカバーバージョンがヒットした “ Ai No Sono 愛の園 ” など…ポップな佳曲も配しながらインストルメンタル音楽により比重を置いた、とても音楽的に楽しめる作品集となっています ♪ 全編をとおして聴いてみればタイトル曲と言えるバラード… “ The Secret Life Of Plants ” における素晴らしいボーカルや、16ビートの速いテンポに乗せて種子の生命力を表現する“ Race Babblig ” での描写の手法など聴きどころに事欠きません ♪ 私の一番好きなナンバーは Stevie ならではのブラジリアンテイストのスローサンバとも言える “ Power Flower ” …その夢見るような歌詞とサウンドです ♪