Gil Evans ギル·エバンス…このモダンジャズにおける最高のアレンジャーの晩年の活動の軸となった、ニューヨークのジャズクラブ Sweet Basil でのライブを収めて最初にリリースされた1985年のアルバム 『Live At Sweet Basil Vol.1』は発表された当時から現在まで繰り返し聴きつづけている作品で、彼のジャズにおけるビジョンとその集大成をかたちづくる大きな魅力を放ちつづけています ♪ 1970年代に追求された緻密なオーケストラアレンジにジャズ本来の恣意性を併せて演奏される冒頭の “ Parabola ” にはじまり、4ビートジャズの疾走感を存分に感じさせる “ Prince Of Darkness ” での Hiram Bullock の見事なギターソロ、Howard Johnson によるチューバ、バリトンサックス、バスクラリネットといった低音管楽器を駆使した圧倒的なインプロビゼーション、ハイトーンのトランペットの名手 Lew Soloff のプレイなど…ジャズオーケストラならではの色彩豊かなサウンドのバリエーションが80分以上にわたって展開されていきます ♪ 25分近いメドレーで〈C〉の調の Blues を聴かせる場面は、ジャズのスピリットのオデッセイ…未来への架け橋となっているようにも感じられます ♪ Charles Mingus の名スタンダード… “ Goodbye Pork Pie Hat ”でのアルトサックス奏者 Chris Hunter のよどみのない見事なソロは何度繰り返し聴いても素晴らしい…このライブのハイライトと言っていい場面です ♪
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Dori Caymmi ドリ·カイミ…ブラジルポピュラー音楽の代表的な作曲家である Dorival Caymmi の子息で、父と同じく優れたシンガーソングライターです ♪ 1960年代から現在にいたるまで、かけがえのない数々の名曲を作っていますけれども、世界的にもっとも知られているのは… Sergio Mendes に取り上げられて英語の歌詞がつけられ、“ Like A Lover ” のタイトルでスタンダードとなって、ハーモニカ奏者で口笛ギターの名手、 Toots Theilemans の 『The Brasil Project Vol.1 』(1992) にも収録されている “ O Cantador (歌い手=吟遊詩人…の意)” というナンバーでしょう ♪ 朗々とした低音ボイスで歌われる彼自身の歌声は、切々としたオリジナリティをともなって胸に響きます ♪ 同じくその Toots の『The Brasil Project Vol.2 』(1993) に収められている “ Obsession ” も あざやかな転調をともなった名曲です ♪ その作風は堂々と揺るぎのない…まるで大自然のような佇まいを感じさせながら、美しい転調をともなって音楽的に展開する魅力あふれるもの…♪ 私のフェイバリットナンバーは、そのタイトルのとおり悠々と流れる大河そのもののサウンドを聴かせてくれる傑作 “ Rio Amazonas (Amazon Liver=アマゾン河) ”… アルバム『 Inner World 』(2009)では自身の歌う歌詞のついたバージョンを聴くことができます ♪
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Olivier Messiaen オリヴィエ·メシアン(1908-1992)…20世紀の音楽を代表するフランスの作曲家で、その数多くの作品は今も、音楽の未来への示唆に満ちています ♪ 1980年代の終わりに、旅行先のパリ市内の教会で行われた、大作『主イエズス·キリストの変容』(1969)を…その大編成オーケストラによる生演奏で聴くことができたのは本当に貴重な体験で、極彩色にも感じられる彼のサウンド(…フランス語では Sonorité ソノリテ)を全身に浴びるように受け止めたことを思い出します ♪ 精密…とも言えるその理論的な作曲プランにもとづきながらも随所に人間的な自由さをもって、調性を強く感じさせない、乱反射するような音響世界が、後年の…鳥の声や自然にインスパイアされた作品にも神秘的な魅力を放ちつづけています ♪ 膨大な作品すべてが傾聴に値しますけれども、第二次大戦中に捕虜となって収容所でめぐり逢った演奏家たちとの合奏のために書かれた、彼の作品のなかでももっとも演奏される機会の多いもののひとつ…『世の終わり(時の終わり)のための四重奏曲 Quatuor pour la Fin du Temps』は、日本の終戦の日の近づいたこの時期に思い起こされる1曲です ♪
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Steve Khan スティーブ・カーン…ジャズ·フュージョンのギタリストとして巨匠の位置にある長いキャリアの音楽家です ♪ 1970年代からセッションギタリストとして多く活躍して、Brecker Brothers の『Back To Back』(1976), Billy Joel の名盤『The Stranger 』や Steely Dan の 『Gaucho 』の録音などでも、そのしなやかなプレイを聴くことができますけれども…彼の真骨頂は、そんなメジャーのシーンから距離を置いて制作された『Evidence』(1980) での多重録音のギターサウンドによる Thelonious Monk の作品群のカバーなどを端緒に、さらに…ベースのAnthony Jackson、パーカッションの Manolo Badrena 、そしてドラマーの Steve Jordan (Charlie Watts 亡き後の The Rolling Stones をサポートしている…)らとともに結成したグループ〈Eyewitness〉での3枚にわたるアルバムに、大きな展開をみせます ♪ メンバーそれぞれの即興演奏を基本に…それらをグループのサウンドとして昇華させる…という方法は、Miles Davis などにも共通する、本質的なジャズとしてのアプローチを強く感じさせる、スリリングな魅力に満ちたものです ♪ 今はなくなってしまったライブハウス…東京の六本木ピットインでの、このグループの来日公演を記録したアルバム『Modern Tines モダン・タイムス』(1985) における演奏は、彼のユニークな音楽のエッセンスを存分に聴くことができます ♪ 私のフェイバリットナンバーは、オリジナルLPレコードのB面、パーカッションソロとのスリリングな掛け合いが展開する “ Penguin Village ”…です ♪
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Ramsey Lewis ラムゼイ·ルイス (1935-2002) のピアノプレイ…その明快なタッチと歌うフレージングには、私自身…とても多くの示唆と影響を受けています ♪ ヒットアルバム『 The 'in' Could 』(1965) 以外にも、ほぼ毎年のようにアルバムを発表しつづけている…音楽に対するバイタリティーは驚くべきものがあります ♪ 自身のピアノトリオに1960年代後半、ドラマーとして在籍し、その後 Earth, Wind & Fire のリーダーとして大活躍する Maurice White をプロデュースチームに加えた1975年のアルバム『 Sun Goddess 太陽の女神 』では、その Earth, Wind & Fire のライブによるカバーバージョンとともに知られるタイトル曲でのファンキーなプレイがクラシックとして聴き継がれています ♪ 1990年代に入ってからは 〈 Urban Knights 〉の名義で Weather Report のリズムセクションとして名高い Omar Hakim(drums), Victor Baily(bass) らとともに極上のジャズフュージョンサウンドを展開していったことも注目に値します ♪ そんななかで私のもっとも愛するのは… Stevie Wonder に2曲の提供を受けた1977年のアルバム『 Love Notes 』でのタイトル曲、そして冒頭を飾る “ Spring High ” での胸躍る Groovy なサウンドです ♪
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João Gilberto ジョアン·ジルベルト の1973年のアルバム『 João Gilberto 』は私自身、1990年代から現在まで…とおして聴きつづけている大好きな作品で、彼の思い描くギターと歌の表現のエッセンスが全編にちりばめられている傑作です ♪ 1960年代からすでに自分ひとりでのギター弾き語りのスタイルで演奏をしていた João ですけれども、Tom Jobim の代表的なスタンダード “ Água de março (三月の水) ” で幕を開けるこのアルバムでは Sonny Carr による…わずかなパーカッションの演奏だけをともなって、とても静謐で詩的な音楽世界を形づくっています ♪ Caetano Veloso の作品 “ Avarandado (ベランダのある家) ” や、João の故郷でもあるバイーア地方の情景を歌った…ブラジルポピュラー音楽でもっとも知られるサンバ “ Aqualeira do Brasil (ブラジルの水彩画) ” の作者である Ari Barroso による古典的名曲 “ Na Baxão do Sapateiro (坂のある下町で…)” が João 自身のギター独奏によって収められたり…と、シンプルなサウンドにつつまれている内容はバラエティ豊かな彩りに満ちています ♪ めくるめく転調を繰り返す“ Eu vim da Bahia (僕はバイーアからやって来た)” は… João の冴えわたる弾き語りの真髄を感じとれる演奏で、私自身のバイブルのひとつでもある名曲です ♪
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佐藤博さんは…2012年に亡くなられてしまいましたけれども、その唯一無二のキーボードプレイとオリジナリティあふれる作品の数々は残された録音のなかでエバーグリーンな輝きを放っています ♪ 数多くのレコーディングセッションでの素晴らしい演奏は枚挙にいとまがありませんけれども…そのユニークな音楽的なエッセンスを結晶のように聴かせてくれる作品が1982年のアルバム『 awakening 』です ♪ これは…当時最先端の機材だった Linn Drum によるドラムプロミングに乗せたボーカル-インストルメンタルサウンドが全編を貫いて展開する傑作で、未だにこのトータルなサウンドデザインは普遍的な魅力に満ちています ♪ The Beatles のスタンダード “ From Me To You ”, Quincy Jones による1970年代のホーンアンサンブルの名曲をシンセサイザーキーボードでカバーする “ Love And Peace ” などもふくまれたコンテンツは Wendy Matthews とともに織りなすボーカルと華麗なキーボードプレイによって極上の心地よさを聴かせてくれます ♪ 深い青色の空と、同じように青いパラソルの覗くベランダのフォトグラフを配した印象的なジャケットデザインとともに〈永遠の夏〉を感じさせてくれる…名作アルバムです ♪