「音楽はまず声から出発する…。全部の楽器は全部人間の声の代理…」という、亡くなった、指揮者の小澤征爾さんが語っていた言葉が折に触れて思い出されることがあります ♪ 自分自身のことを思い出してみても、ピアノやバイオリンといった楽器の練習を「大変だな…」と思いながらしていた小さい頃に、本当に音楽の楽しさやよろこびの気持ちを覚えたのは、大きな声で…歌うことの楽しさを実感したときだった気がします ♪ 楽器は、人の声では出せないような高い音や低い音も出すことが出来るし、長い持続音や速いフレーズも演奏することが出来るので、完全な意味での〈声の代理〉にはならないのも事実ですが、さきの小澤さんの言葉は…いわゆる〈歌ごころ〉といわれるような、心の奥から湧き出る気持ちを音に込めて演奏することの大切さを話されているのだと思います ♪ 演奏には日々…鍛錬と技術の研鑽をかさねなければならないわけですが、同時に…その音を、人のこころを映し出した音として、どのように大切に歌ったり楽器で演奏したりするか…ということも、問われています ♪ ボサノバ Bossa Nova の名曲のなかに…いわゆる〈恨み節〉と言えるような、恋の恨みを歌った歌詞の内容を、とても美しいメロディーに託して表現している作品が多くありますが、 “Aos Pés Da Cruz 十字架の下で”, “Doralice ドラリッシ”などの、美しいメロディーをもった〈恨み節〉の曲にふれるたびに、一見、別々に見えるような歌と楽器演奏との結びつきが…じつは深いところで1つの音楽としてまとまっていることと…すこし似ているように思えるのです ♪ (とりとめのない話シリーズ…)
映画『リトル・ロマンス A Little Romance 』(1979)は…『明日に向かって撃て!』、『スティング』で知られるジョージ・ロイ・ヒル監督による青春映画の傑作です ♪ 今や名実ともに大女優のダイアン・レイン Diane Lane のデビュー作でもあります ♪ 私が最初に見始めた映画のひとつで、十代前半の主人公たちの初々しさと、老年のいぶし銀の名演技で脇をささえるローレンス・オリビエ Laurence Olivier の素晴らしさが今も記憶に深く刻まれています ♪ 音楽は、これまた 1960 年代のヌーベルバーグ Nouvelle Vague のフランス映画の数々から、のちには『ツインズ』、『フォー・エバー・フレンズ』などのハリウッド映画まで手掛けていく映画音楽の名作曲家 ジョルジュ・ドルリュー Georges Delerue が担当…♪ 当時、欧米でベストセラーになっていた、作家パトリック・コーヴァンの小説を映画化したもので、パリで巡り逢い、惹かれ合った2人の少年少女が謎の老人から聞かされた伝説に導かれるように , 、ヴェニスのため息の橋の下でキスをして永遠の愛を誓おうとする…現代のおとぎ話 ♪ メインテーマには Vivaldi ヴィヴァルディのギター協奏曲の美しい緩徐楽章が使われて、みずみずしいロマンチックな雰囲気を醸し出しています ♪ この映画でアカデミー賞のオリジナル作曲賞も獲得しているジョルジュ・ドルリュー Georges Delerue の作る…それ以外の音楽も、丁寧で職人的な佳曲ばかりで、映像と音楽が相まって楽しめるとても素敵な作品です ♪ この作品にふれるたびに、映画と音楽とのいちばん美しい関係について、いつも…ハッと気づかされるようです ♪