「音楽はまず声から出発する…。全部の楽器は全部人間の声の代理…」という、亡くなった、指揮者の小澤征爾さんが語っていた言葉が折に触れて思い出されることがあります ♪ 自分自身のことを思い出してみても、ピアノやバイオリンといった楽器の練習を「大変だな…」と思いながらしていた小さい頃に、本当に音楽の楽しさやよろこびの気持ちを覚えたのは、大きな声で…歌うことの楽しさを実感したときだった気がします ♪ 楽器は、人の声では出せないような高い音や低い音も出すことが出来るし、長い持続音や速いフレーズも演奏することが出来るので、完全な意味での〈声の代理〉にはならないのも事実ですが、さきの小澤さんの言葉は…いわゆる〈歌ごころ〉といわれるような、心の奥から湧き出る気持ちを音に込めて演奏することの大切さを話されているのだと思います ♪ 演奏には日々…鍛錬と技術の研鑽をかさねなければならないわけですが、同時に…その音を、人のこころを映し出した音として、どのように大切に歌ったり楽器で演奏したりするか…ということも、問われています ♪ ボサノバ Bossa Nova の名曲のなかに…いわゆる〈恨み節〉と言えるような、恋の恨みを歌った歌詞の内容を、とても美しいメロディーに託して表現している作品が多くありますが、 “Aos Pés Da  Cruz 十字架の下で”, Doralice ドラリッシ”などの、美しいメロディーをもった〈恨み節〉の曲にふれるたびに、一見、別々に見えるような歌と楽器演奏との結びつきが…じつは深いところで1つの音楽としてまとまっていることと…すこし似ているように思えるのです ♪ (とりとめのない話シリーズ…)

このブログの人気の投稿