西欧クラシック音楽の作曲法のなかで、いまや現代的な意味では…やや廃(すた)れがちなのですけれども…〈 Harmony = ハーモニー ( 和声法 ) 〉という教程があります ♪ 混声4部合唱や弦楽四重奏…といった高い音域から低い音域までを網羅した合奏をイメージして4つの音域の旋律を調和させて紡いでいく…といった大変ややこしい作業で、いわゆる作曲、編曲と言われてきたものの基礎になる技術の訓練なのですけれども…なぜ今ではやや廃れがちなのかといいますと、それが19世紀までの西欧クラシック音楽の作曲の審美的な礎(いしづえ)になっていたと言えるからで…その〈和声法〉にもとづいて作曲や編曲をすると…極めて西欧=ヨーロッパ的なサウンドの音楽に仕立て上がってしまう、ということが…ひとつの理由としてかんがえられます ♪ ですから逆に、西欧クラシック音楽の過去の名作をより深くかみくだいて研究するうえでは、とても大きな助けになるセオリーだとも言えます ♪ それぞれの声部(ソプラノ、アルト、テノール、バス)の動きには基本的な規則が定められていて、制限された動きや、またその例外など…とてもややこしいことが課されるので、その大変なぶんだけ…作曲編曲の訓練になる、ということなのでしょう ♪ 実際の細かい部分は教えるひとの〈ハーモニー〉の感覚や美学に左右されることが多く、いわゆるさまざまな流派のようなものもあって、これといった絶対的な規範、規則があるわけではない…というのが本当のところです ♪ 私の作曲の恩師の言葉…いちばんよく思い出されるのは、「やってはいけない悪い例を覚えることはない。いちばんこうしたらいいという、よい例をよく覚えるといい…」 ♪ こころに深く響く至言だと、今でも思っています ♪ ( 作曲編曲よもやま話…♪ )
映画『リトル・ロマンス A Little Romance 』(1979)は…『明日に向かって撃て!』、『スティング』で知られるジョージ・ロイ・ヒル監督による青春映画の傑作です ♪ 今や名実ともに大女優のダイアン・レイン Diane Lane のデビュー作でもあります ♪ 私が最初に見始めた映画のひとつで、十代前半の主人公たちの初々しさと、老年のいぶし銀の名演技で脇をささえるローレンス・オリビエ Laurence Olivier の素晴らしさが今も記憶に深く刻まれています ♪ 音楽は、これまた 1960 年代のヌーベルバーグ Nouvelle Vague のフランス映画の数々から、のちには『ツインズ』、『フォー・エバー・フレンズ』などのハリウッド映画まで手掛けていく映画音楽の名作曲家 ジョルジュ・ドルリュー Georges Delerue が担当…♪ 当時、欧米でベストセラーになっていた、作家パトリック・コーヴァンの小説を映画化したもので、パリで巡り逢い、惹かれ合った2人の少年少女が謎の老人から聞かされた伝説に導かれるように , 、ヴェニスのため息の橋の下でキスをして永遠の愛を誓おうとする…現代のおとぎ話 ♪ メインテーマには Vivaldi ヴィヴァルディのギター協奏曲の美しい緩徐楽章が使われて、みずみずしいロマンチックな雰囲気を醸し出しています ♪ この映画でアカデミー賞のオリジナル作曲賞も獲得しているジョルジュ・ドルリュー Georges Delerue の作る…それ以外の音楽も、丁寧で職人的な佳曲ばかりで、映像と音楽が相まって楽しめるとても素敵な作品です ♪ この作品にふれるたびに、映画と音楽とのいちばん美しい関係について、いつも…ハッと気づかされるようです ♪