今年は ブラジルポピュラー音楽を代表する作曲家 Antonio Carlos Jobim アントニオ·カルロス·ジョビン = Tom Jobim の生誕100年にあたり…その活動の1970年代、女性スター歌手 Elis Resina とのコラボレーションによる名作アルバム『Elis & Tom』の録音風景を捉えたドキュメンタリー映画『エリス&トム ボサノヴァ名盤誕生秘話』が公開されています ♪ これは1974年録音の歴史的な傑作アルバムで、まず…この録音に際してこんなにも子細な記録映像が残されていたんだ、という驚きが…映画を観たあとの率直な感想です ♪ 素晴らしい作品の実際の演奏の詳細を探求するうえで、やはり映像の〈ちから〉はとても大きくて…まずなによりも、Tom Jobim そのひとの弾くギターのバチーダ(ブラジルポピュラー音楽のリズムギター奏法)の素晴らしさに目を奪われます ♪ このアルバムを歴史的な傑作たらしめている、もうひとつの大きな点、それが… Tom Jobim の弾くアコースティックなピアノやギターのサウンドに当時の Elis Resina のエレクトリックな編成のバンドサウンドが絶妙なバランスでブレンドされていることです ♪ サンバから派生する16ビートのリズムとエレクトリックなバンドサウンドは、その後のクロスオーバー Cross Over = フュージョン Fusion のミュージックシーンの先駆けとなる…風とともに水の滴るような美しさを聴かせつづけてくれます ♪ 冒頭の名曲 “ Agua de março 3月の雨 ” はもちろんのこと、Jobim 自身もライブのレパートリーとして多く演奏している “ Só tinha de ser com você (あなたでなければならなかった…の意) ” や、この録音のおよそ8年あとに夭折してしまう Elis のために用意された佳曲の数々とともに永遠を感じさせる名アルバムです ♪
映画『リトル・ロマンス A Little Romance 』(1979)は…『明日に向かって撃て!』、『スティング』で知られるジョージ・ロイ・ヒル監督による青春映画の傑作です ♪ 今や名実ともに大女優のダイアン・レイン Diane Lane のデビュー作でもあります ♪ 私が最初に見始めた映画のひとつで、十代前半の主人公たちの初々しさと、老年のいぶし銀の名演技で脇をささえるローレンス・オリビエ Laurence Olivier の素晴らしさが今も記憶に深く刻まれています ♪ 音楽は、これまた 1960 年代のヌーベルバーグ Nouvelle Vague のフランス映画の数々から、のちには『ツインズ』、『フォー・エバー・フレンズ』などのハリウッド映画まで手掛けていく映画音楽の名作曲家 ジョルジュ・ドルリュー Georges Delerue が担当…♪ 当時、欧米でベストセラーになっていた、作家パトリック・コーヴァンの小説を映画化したもので、パリで巡り逢い、惹かれ合った2人の少年少女が謎の老人から聞かされた伝説に導かれるように , 、ヴェニスのため息の橋の下でキスをして永遠の愛を誓おうとする…現代のおとぎ話 ♪ メインテーマには Vivaldi ヴィヴァルディのギター協奏曲の美しい緩徐楽章が使われて、みずみずしいロマンチックな雰囲気を醸し出しています ♪ この映画でアカデミー賞のオリジナル作曲賞も獲得しているジョルジュ・ドルリュー Georges Delerue の作る…それ以外の音楽も、丁寧で職人的な佳曲ばかりで、映像と音楽が相まって楽しめるとても素敵な作品です ♪ この作品にふれるたびに、映画と音楽とのいちばん美しい関係について、いつも…ハッと気づかされるようです ♪