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João Gilberto ジョアン·ジルベルト については…ジャズギターの修行を始めた10代の頃にはアルバム『 Getz /Gilberto ゲッツ·ジルベルト 』などで、その弾き語りの演奏にはふれていましたけれども、あくまでもジャズを中心としたギターの即興演奏のバリエーションのひとつとして捉えていました ♪ それが、1990年代に入って彼の初期の録音を聴くうちに、Bossa Nova ボサノヴァをふくめたブラジルポピュラー音楽そのものに私自身…広く興味と関心が向くようになっていきます ♪ “ Chaga de Saudade 想いあふれて “, “ Desafinado ジザフィナード ”, ” One Note Samba ワン・ノート・サンバ ” などのスタンダードの名曲をつぶさに聴くうちに〈バチーダ Batida〉と呼ばれるブラジルポピュラー音楽のリズムギターに夢中にさせられます ♪ João については…聴きに行った2000年代に入ってからの来日公演で多くのことを気づかされましたし、同じくRoberto Menescal や Baden Powell などの来日公演でもその名演奏にふれることができて…ますますブラジルギター奏法への研究意欲は高まるばかり…♪ Gilberto Gil や Djavan の 素晴らしいリズムにもいつも憧れますけれども…なんと言っても、まずは João  Gilberto … そして Baden Powell …♪ 彼らのプレイが私の〈バチーダ Batida〉のバイブルです ♪
西欧のクラシック音楽での〈 ハーモニー Harmony 〉 は…日本語では〈和声〉などと訳されますけれども、ポピュラー音楽でのメロディーとコード進行の関係と同じことだと考えてさしつかえありません ♪ ボサノヴァ Bossa Nova を含めたブラジルポピュラー音楽のコード進行で…とくにその特徴として挙げられるのが、コード=和音の〈転回形 Inversion〉 が多く用いられ、それがその曲のサウンドを特徴づけるポイントになっていることです ♪ ベースの音が C=ド となる基本形〈ドミソ〉のような3つの音で出来ているコードでは…〈ミソド〉、〈ソドミ〉というように2種類の転回形( 直角三角形を転がすとカタチが変わって見える…ようなイメージ )がありますけれども…有名なスタンダード…“ Corcovado コルコヴァード ”の冒頭や、“ Meditaçāo メヂタサォン ”のなかで用いられる  短3和音の転回形〈□m6〉などは…そのわかりやすい例です ♪ 私の作曲の恩師が「基本形〈ドミソ〉は〈固体〉、第1転回形〈ミソド〉は〈液体〉、第2転回形〈ソドミ〉は〈気体〉…のようなもの」と教えてくれました ♪ とてもよい〈たとえ〉だと思えるので…私自身でもそのように説明することが多いです ♪ ( 作曲編曲よもやま話…♪ )
Marvin Gaye マービン·ゲイのアルバム『 What's Going  On 』ど並ぶ傑作が…サウンドトラック『 Trouble Man 』に続いて次に発表されたオリジナルアルバム『 Let's Get It On 』(1973)です♪ 前作とはガラリと変わって…R&B リズム&ブルースの真髄を聴かせてくれる、最高に Soulful な歌とサウンドは半世紀以上を経た現在でもまったく色褪せていません ♪ さまざまな愛のかたちをときに情熱的に、ときに哀愁を感じさせて歌いあげるボーカルは、いつ聴いてもとてもエモーショナル… ♪ 私の大好きなのは冒頭のタイトル曲はもちろん…つづく“ Please Don’t Stay ”, “ If I Shoud Die Tonight ”そして“ Keep Getting It On ”とつづくLPレコードのA面の作品群…♪ けれどもさらにB面の冒頭の“ Come Get To This ”, “ Distant Lover ”も…その後の彼のライブのレパートリーとなる名曲ですし、終曲“ Just To Keep You Satisfied ”も…別れを歌ったとても美しいバラードですので、いつもと同じく、どの曲も素晴らしいサウンド…なので、アルバム丸ごと…とおして聴いてしまいます ♪
友情について歌った曲は数多くありますけれども、名曲が多いです ♪ ぱっと思い浮かぶだけでも Carole King の名作アルバム『 Tapestry つづれおり 』に収録の、彼女の代表曲のひとつ“ You’ve Got A Friend ” ( これは Roberta Flack と Donny Hathaway  の素晴らしいデュエットのバージョンでも知られています ♪ ) 、その歌にインスパイアされた映画もヒットした  Ben E. King の“ Stand By Me ”、 Michael Jackson の Jackson 5 時代のヒット曲 “ I’ll Be There ” , そして The Beatles の“ With A Little Help From My Friend ”など…♪ どれもユニークなコード進行に彩られていて記憶に残ります ♪ 私の世代感で、さらに加えたい1曲は  Burt Bacharach バート・バカラックが作曲してプロデューサーとしても名をつらねた 1985 年のヒット曲  “  That’s What Friends Are For   愛のハーモニー ” ♪ Dionne Warwick, Stevie Wonder, Elton John, Gladys Knight の共演でも話題になり、グラミーの最優秀作曲賞も受賞しました ♪ Michael Jackson  にも提供曲がある名作詞家・ソングライターの  Carole Bayer Sager による素敵な歌詞が  Stevie Wonder  の素晴らしいハーモニカの演奏に導かれて歌われる、その美しいメロディーとサウンドには…いつ聴いても胸を熱くさせられます ♪ ずっと以前になくしてしまっていた…その曲の収録されている LP レコードのアルバムを、先日…ふとのぞいた中古レコード店でみつけることができたのは…とてもうれしい出来事でした ♪
Gil Evans ギル·エヴァンズ…はジャズの最高のアレンジャー、そしてバンドリーダーの1人として、不朽の存在です ♪ 私自身…Miles Davis や Weather Report などと並んで、その録音をもっとも繰り返し傾聴している音楽家と言えます ♪ その音楽は1970年代までの精緻を極めたものから、1988年に亡くなるまでの…晩年の、より即興に重きをおいたものへと変遷を遂げていきますけれども、フレンチホルンを加えるなどのユニークなホーンアンサンブルと、ジャズの本質をふまえた…メンバーの主体的な即興性と溢れるスイング感は一貫しています ♪ Miles Davis との生涯にわたるコラボレーション Collaboration からアルバム『 Miles Ahead 』,『 Porgy And Bess 』,『 Sketches Of Spain 』などの名作が生まれ、ジャズオーケストラサウンドの教科書として聞き継がれていますし、自身の組織するオーケストラも…その創造的なアンサンブルによって、もっとも理想的なジャズサウンドの姿を描き出しています ♪ すべての録音が必聴と言えますけれども…私からは、自分が10代の頃から変わらず聴き続けている…1980年代の〈The Monday Night Orchestra 〉の録音から『Live At Sweet Basil Vol.2 』の疾走する “ Gone ” の素晴らしい演奏をご紹介しておきます ♪ Gil Evans については…折々で、またこれからも…ふれることになると思います ♪
Ennio Morricone エンニオ・モリコーネは…映画音楽最大の作曲家の1人といっていい、偉大なレジェンドです ♪ 1960 年代から 2020 年に亡くなるまで 60 年におよぶ作曲家人生のなかで、まだ私自身が聴けていないものも多い…その作品の数の膨大さには、ただただ最大級のリスペクトをするばかり です ♪ 『ニュー・シネマ・パラダイス』、『荒野の用心棒』、アカデミー作曲賞にノミネートされた『ミッション』、『アンタッチャブル』などヒット作品も多く手がけています ♪ なめらかで美しいストリングスの響きによるリリカルで、ときに情熱的なメロディーはオリジナリティーにあふれたもので、いつもその楽想の豊かさに憧れます ♪ 私自身の体験からお話しすると、ともに名優ロバート・デニーロの主演による…まずは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のなかの、主人公が初恋の相手の少女によせる想いを音で描く“デボラのテーマ”、そしてベルナルド・ベルトリッチ監督の大作『 1900 年』の美しく峻厳なメイン・タイトル“ Romanzo ” , “ Estate 1908 ” など名曲が揃う2作品が心に残ります ♪ ストリングスにコーラスをユニゾンで加えるユニークなオーケストレーションは、日々、決められたルーティンを守ってつづけられたと伝わる…プロフェッショナルの上質な仕事から生み出されたことをじゅうぶんに感じさせるもので、いまも自分自身の曲作りのひとつの大きな指標になっています ♪  
Yellow Magic Orchestra  の音楽がなぜあれほどにもエポックメイキングなものだったかと考えると…なによりまず、リーダーの細野晴臣さんの指向する Vision ヴィジョンに想いをはせてしまいます ♪ それに先立つ伝説のバンド…「はっぴいえんど」や「ティン・パン・アレイ」の多くの名曲たちも、細野さんのそのユニークなヴィジョンなしには生まれなかっただろうと思えるからです ♪ 日本のポピュラー音楽においてもっとも大きな存在の1人といえる彼のことは、とても 1 回の記事ではお話ししきれないので、今回はまず、その音楽の実際の核となる…そのベースの演奏についての私なりの感想を…♪ サウンドの土台を担う Bass ベースの音は…声楽=コーラス、器楽=インストルメンタルを問わず、和音を形作る…文字どおり〈ベース〉になるものですけれども、細野さんの描き出すその〈ベースライン〉は、いわゆる和音の転回形と言われる…和音の第 3 音 ( ドミソでいうとミ… ) や、第 5 音 ( ドミソでいうとソ… ) に多く重心を置くものになっていて、まさに波打ち際を濡らされずに歩く名人の飄々とした姿が思い起こされます ♪ その独特な作風を形作っているエッセンス essence  が…その浮遊するようなベースラインの音のならべかたにもあらわれていると思えます ♪ 音のえらびかただけではなく音色やリズム、さらにはその歌声にも彼の魅力はあふれているのですが、それついてはまた次の機会に…♪ 今日の最後に、 Yellow Magic Orchestra  のレパートリーで私の好きな細野作品のひとつ…“ Simoon ” をご紹介しておきます ♪
〈ナベサダ〉の愛称で知られている  Sadao Watanabe  渡辺貞夫さんは…言わずと知れた日本を代表するジャズミュージシャン=アルトサックス奏者で、作曲家、バンドリーダーとしても至高の存在です ♪ 92 歳になられた現在でも精力的にライブコンサートを行われている姿は驚異的で、変わらない素晴らしいそのあたたかい音色とフレーズはいつも私の音楽への気持ちを高めてくれるのと同時に…ときに優しく癒やしてくれます ♪ その素晴らしい音楽には…日々のご自分への研鑽といい音楽を追究される厳しい姿勢が感じられて、いつも私自身の音楽への取り組みかたのお手本になっています ♪ 70 年以上におよぶ演奏活動のなかで、私が貞夫さんの音楽に最初にふれたのは有名な TV コマーシャルで出演もされた “ California Shower ”, “ Nice Shot ”といったフュージョンサウンドの時代からでしたけれども、それからさかのぼって名作アルバム『 My Dear Life 』や 1970 年代前半の当時の最新サウンドであるアフリカ指向のクロスオーバー=フュージョンのサウンドを聴いてジャズフュージョンの歴史を辿らせてもらったことは、いまの私の音楽にとって変わらない礎 ベース…になっています ♪ いちばん好きなアルバムは何かと聴かれると変わらずいまも素直に… 1983 年に初めて全米ジャズチャートで1位を獲得した、パーカッション奏者の名プロデューサー  Ralph MacDonald ラルフ・マクドナルド 制作の名作『 Fill Up The Night 』…と、こたえます ♪