印象主義 Impressionisme(仏) という言葉は…画家のモネ、ルノワールなどの作品について多く語られる美術分野だけでなく、音楽においても フランスの作曲家 Debussy ドビュッシーや Ravel ラヴェルの作品に見られるかたちについて分類 = カテゴライズするうえで用いられます ♪ その特徴は…ひとつには、それまでのドの位置から始まるドレミファソラシド…という序列の全音階 = ダイアトニック·スケール から離れて、残りの6つの音をそれぞれ起点とする、たとえば〈レの旋法(ドリア)〉、〈ファの旋法(リディア)〉、〈ラの旋法(エオリア)〉などの…いわゆる〈教会旋法〉を活用した音響を構築していることと関連しています ♪ Ravel の代表的なオーケストラ作品である バレエ音楽『ダフニスとクロエ』における主題のフレーズには、いわゆる全音階 = ダイアトニックなサウンドとは一線を画す響きが一聴して聴き取れます ♪ 19世紀末から20世紀の初めにかけて、フランスのパリを拠点にして開花していったこの新しい音楽のありようは、Debussy の作品である交響詩『海』や、前述の Ravel の精緻なオーケストレーションなど…印象主義の画家シスレー、スーラ、そしてピサロの絵画における点描などの手法とも相通ずる明滅するような音響効果へと発展して、さらにはその後の Olivier Messiaen オリヴィエ·メシアンなどによる…現代の音楽、そしてジャズやポピュラー音楽のサウンドへの端緒を開いていくのです ♪
映画『リトル・ロマンス A Little Romance 』(1979)は…『明日に向かって撃て!』、『スティング』で知られるジョージ・ロイ・ヒル監督による青春映画の傑作です ♪ 今や名実ともに大女優のダイアン・レイン Diane Lane のデビュー作でもあります ♪ 私が最初に見始めた映画のひとつで、十代前半の主人公たちの初々しさと、老年のいぶし銀の名演技で脇をささえるローレンス・オリビエ Laurence Olivier の素晴らしさが今も記憶に深く刻まれています ♪ 音楽は、これまた 1960 年代のヌーベルバーグ Nouvelle Vague のフランス映画の数々から、のちには『ツインズ』、『フォー・エバー・フレンズ』などのハリウッド映画まで手掛けていく映画音楽の名作曲家 ジョルジュ・ドルリュー Georges Delerue が担当…♪ 当時、欧米でベストセラーになっていた、作家パトリック・コーヴァンの小説を映画化したもので、パリで巡り逢い、惹かれ合った2人の少年少女が謎の老人から聞かされた伝説に導かれるように , 、ヴェニスのため息の橋の下でキスをして永遠の愛を誓おうとする…現代のおとぎ話 ♪ メインテーマには Vivaldi ヴィヴァルディのギター協奏曲の美しい緩徐楽章が使われて、みずみずしいロマンチックな雰囲気を醸し出しています ♪ この映画でアカデミー賞のオリジナル作曲賞も獲得しているジョルジュ・ドルリュー Georges Delerue の作る…それ以外の音楽も、丁寧で職人的な佳曲ばかりで、映像と音楽が相まって楽しめるとても素敵な作品です ♪ この作品にふれるたびに、映画と音楽とのいちばん美しい関係について、いつも…ハッと気づかされるようです ♪